単なる葉っぱを売れる葉っぱに変えた村「上勝村」。その裏には、株式会社いろどりの横石氏をはじめとした地道な努力がありました。
毎日のように診療所やデイサービス通っていたお年寄り。朝っぱらから農協や役場で集まって酒を呑んでくだを巻く農家の男衆。そんな村が、お年寄りを含めて毎日パソコンで市場の分析をし、せっせと売上を競い合うように変わりました。
その手法は地道なものの、理にかなったこと。横石氏の著書から、改善として役立つ情報をいくつか抜粋してご紹介します。
☑失敗から立ち直る現場主義
葉っぱを料亭で出されるツマとして販売することを思いついた横石氏。ところが予想に反して、まったく売れなかった(1枚5円程)。そこで、料亭に何度も足を運ぶことで、売れる時期、形、種類などを知り、売上を見事伸ばしました(1枚100円以上)。
足を運んだ数は、月7~8回を2年間。当時、20万円にも満たない給与の横石氏にとっては、並大抵のことではありません。
「いつも現場へ自分が飛び込んでいき、肌で感じて体験してきたから、ほかの人と意見が違っても『絶対こうだ』と考えがぶれることはない」と語ります。
たとえ失敗が起きても、現場主義を徹底することで立ち直ることができます。地道なことですが、大事です。
☑ハイテクは使われてはじめて有効
需要と供給を一致させ、供給過多で値崩れになるのを防ぐために、農家と市場の情報を結ぶイントラネットを構築しました。その情報を見るため、農家にはパソコンを設置することが課題になりました。
しかし、農家の多くはお年寄りであり、別の村ではあまり使われていない状況。「初めて触る人でも使いやすいように」という思いで、パソコンのキーボードは必要最小限にしたのは勿論ですが、
「用がない人に渡しても、パソコンはただの箱でしかない」という思いで、毎日見たくなる情報を流すことを一番工夫しました。他の農家と比較できるように、自分の今の売り上げ順位を載せるということもしています。
その結果、農家のお年寄り達が新聞代わりのように最新の情報を読むようになりました。
改善のためにいき込んで作った最新鋭のハイテクシステム。作ったものの、まったく使われなかったと聞くことがよくあります。横石氏の言葉を借りれば、どんなハイテクなシステムでも「自分にあてはまることや、自分の利益になる情報があれば見るし、自分に関係のない情報だったら見ない」ということでしょう。
☑「気」を育てる
社員であれば、賃金、昇格、命令によってある程度やる気をコントロール出来るかもしれません。しかしながら、農家を対象に、第三セクターという立場で指導にあたる横石氏はそれが出来ない状況でした。
それでも農家にやる気を持たせてきたのは、売上順位を表示することで競争心を刺激したりすることをやってきました。それだけでなく、毎日農家に一斉にFAXで市況情報を送り、手書きで書かれていて「ラブレター」とも呼ばれているそうです。
ここでは、著作権の関係で写真は載せれないですが、横石氏曰く「私が描いたヘタウマなじいさん、ばあさんたちのイラストも載せている。そこに『どんどん出してよ~』『がんばって~』と言葉を書き添えることで、みんなをその気にさせてきた」とのことです。
地道なコミュニケーションによって築いた関係が、単なる葉っぱを売れる葉っぱに変えていく「気」をつくり上げたように感じます。
今日から出来る改善ポイント
その改善は、本当に必要とされていますか。現場主義でしっかりと把握して、改善を受ける側との地道なコミュニケーションを是非おこなってみてください。 |
★ほかにも、現場主義を徹底した横石氏の人柄、葉っぱを売れる葉っぱに変えた営業方法など、参考になる情報が本書には沢山あります。是非ご興味ある方は、本書をご参考下さい。