仕事×改善 vol.1
菊農家 渡会 理史(38歳)
父親の家業を継ぎ、菊農家として17年目。田原市ではメジャーな電照菊の栽培で、年間約60万本の菊を出荷。生産者から消費者に花の素晴らしさを伝えるために花農家達のPR大使として「花名人」を結成。リーダーとして、学校での講演等を行うなど精力的に花の普及活動を行う。
改善に対して抵抗があった
今まで収穫する人のカンコツで行っていた菊の選定を簡単に測れて、しかもすぐに収納できる台車を作成してもらいました。
初めにカイゼンコンサルタントの濱松さんからアイデアを聞いたときは、「抵抗がありました」。今までの慣れ親しんだやり方を変えないといけないんで。
でも実際に使ってみると、その効果がわかりました。選定のミスがなくなって、収納作業が楽になりました。今後は、さらに改善してもっと数が載る台車にして、もしダメな菊があればその場所を特定できるようにしたいですね。
単純に「いいものを作れば金になる」のではない
-農業はどうすれば良くなりますか?
良くするには、単純に「いいもの」を作ろうと思いがちです。でも、「いいもの」って何かというのは明確ではないし、さらにどうやって効率的に作るかはあまり意識的ではない。だから、農家同士の情報共有として、今は菊農家達の集まる部会では各農家の収穫量と品質等がオープンになっています。
電照菊は季節に関係がなく、1年に何回も収穫が出来ますので、単位面積当たりの収穫回数が農家の一つの指標。平均が2.5回転程なのに中には3.4回転という強者もいます。
その人を師匠と呼んで、色々と教わるようになりました。師匠を見習うと、植付前にトラクターで土を馴らす作業がありますが、早く植付できるようにトラクターの動きやすい動線を描くビニールハウスに設計しています。こういう所にも良くする改善があるって気づくようになりました。情報がオープンになることで、こんな風にマネをすることが多いですよ。マネをすることで農業を良くする風土がこの地区にはありますね。
工夫すれば付加価値は高まる
-今後目指していることは?
花の良さを伝えること。最近、田原市の花の生産者を集めて「渥美半島 花名人」という名のPRチームを発足させました。
これがメディアにも取り上げられ、今度ホテルなどとも取引する事になりました。田原市の花づくり名人が「本当に良い花」を届けるサービスを行います。規格にとらわれない自分たちが思う「本当に良い花です」。
菊でも規格外の白と黄の混種の色のも本当はきれいです。少しラメをかけて出荷するだけでも何倍も綺麗になります。良くなるためには売り方・作り方を工夫すれば、少しの労力でも付加価値は高まります。
渥美半島 花名人 (→毎日新聞)
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